ビットコインボルトとマイニングシティは詐欺?検証してみた
こんにちは、りゅうこつです。
皆さんは「ビットコインボルト(Bitcoin Vault)」をご存知だろうか?それに付随する形でマイニングシティについても知っていると話が早い。
実は、最近しつこく知人から上記のマルチ商法に誘われたので色々と調べてみた結果、そうとう怪しいにも関わらず、ネットで検索しても「怪しい」と言及されている記事が意外に少なかったのだ。
2020.04.29追記
前提の話だったので書いていなかったが、マイニングシティはマルチ商法であるので、勧誘者は新しいマイニングシティ会員を増やせばその分紹介料が入ることになる。当然、その紹介料分は料金に上乗せされている。
マイニングシティの勧誘に限らないのだが、こういったマルチ商法は自分が儲けるために嘘をついてでもポジティブな情報だけを大量に発信するので注意だ。
上記のような問題点があるのでマルチ商法は規制されているのだが、そもそも、そんな手法で商売している企業がまともな訳がないという事を留意しよう。
ビットコインボルトとは?
そもそも仮想通貨について全く知らない、興味がない人にはややこしい話になるのだがビットコインボルトについて簡単に説明したい。
まず名前に「ビットコイン」と入っているし、ロゴマークもビットコインのマークを流用したものだが、ビットコインからハードフォークした通貨ではない。つまり、勝手に名前を使っているのである。もうこの時点で騙す気がマンマンだし、よりよい通貨にしてゆこうとしている気が無いのがわかる。
ここはビットコインボルトについての概要とその怪しさを説明する場なので、細かいボルト情報については以下の記事を参照していただきたい。
現在ビットコインボルトについてネット検索で出てくる、しっかりまとめられた記事は非常に少なく、目立ったものでは4~5個しか無い。その中でも、ボルトを強くオススメしており、またツッコミどころが満載なのが以下の2つである。少なくとも4月下旬である現在ではgoogle検索でかなり上位にでてくるので、普通に検索してもお目にかかるだろう。
https://hyip-information.com/coin/bit/bitcoinvault/
https://real-estate-investor-ht.com/?p=1840
まとめると、ビットコインボルトの特徴は以下だ。
- マイニングシティでマイニングされるために生まれた仮想通貨である
- 今現在、上場開始から60倍以上に値上がりしている!
- 信用のある有名人が開発に携わっている!
- 半減期はビットコインよりも8倍の速度(半年に一回)
- 史上4番目にASICマシンでマイニングが可能!
- ハッキングされても24時間以内なら取引の取り消し可能!
- ハッシュレートが非常に高いのに価格が安く、今後確実に値上がりする!
一つずつ検証していこう。
マイニングシティとの関係は?価格上昇は本当?
そもそも、ビットコインボルトは何のために生まれたのか?その前にまず「マイニングシティ」について説明しよう。
上記に紹介したブログでもマイニングシティに言及しており、ビットコインボルトはマイニングシティと切っても切れない間柄である。
マイニングシティは、マイニングファームと言って、投資家が出したお金でマイニングマシンを設置し、そこから得た仮想通貨を投資家に還元して、みんなで儲けようという事業を行う会社である。
マイニングシティ自体はビットコインボルトよりも以前から存在し、昔は大手仮想通貨ニュースサイトでも取り上げられ「マイニングシティでビットコインをマイニングすれば絶対儲かる!」ともてはやされたのだが、事業開始から1年弱で一転、報酬が一日数十円に激減したというイワク付きである。
その騒動からマイニングシティの信用は地に落ち、もはや誰も投資などしない…という状況に陥った。そんな中で起死回生の「プロジェクトX」が発足することになる。どういったプロジェクトかと言うと、
「ビットコインなんていう古い通貨のマイニングなんかやめて、今後はビットコインボルトという新しい通貨のマイニングでキミも先行者利益をむしゃぶろう!!」というニュアンス。
この時にビットコインボルトは誕生したのだ。
うん…正直言って「そんな理由で生まれた通貨に価値はあるのか?」と思う。
怪しさは置いといて、確かにどこにも上場されていない通貨を事前に手に入れ、取引所に上場して何十倍何百倍にもその通貨が値上がりしていくというのはまさに仮想通貨ドリーム!
そして、実際にこの後にビットコインボルトは複数の取引場に上場しており、価格は現在60倍!あれ?ビットコインボルトって詐欺って言ってましたよね?
正直に言って、ビットコインボルトを所有すること自体は詐欺とかそうでないとかとは言及できない。 実際に値上がっていることもそうだが、そもそも仮想通貨を売り買いするからには、急激に値下がったり、突然価値がゼロになることなんてどの通貨でも起こり得ることだからである。
ただし、上場してしばらくは価格操作によって値上がりし(草コインは時価総額が低いので簡単に価格操作できる。ましてやボルトはマインベスト社独占コイン。)、その後暴落して二度と値上がらなくなった通貨はいくつもあるので、決してビットコインボルトが投資対象として信用できるという意味ではない。というか、長期的には確実に大暴落するだろう。
最も問題なのは、取引所でビットコインボルトの取引をすることではなく、「マイニングシティ」でビットコインボルトをマイニングすることである。
私も受けた勧誘の内容は、数万円~数十万円を支払ってビットコインボルト用のマイニングマシンを購入し、1100日間マイニングを行うというもの。一括でビットコインボルトが手に入らず、1100日かけて徐々に手に入るというのがポイントだ。
普通に考えれば、今後確実に値上がると思う通貨を毎日少しづつマイニングするのはあまりにもナンセンスだ。安い今のうちにできるだけ多く手に入れたほうが良いに決まっているからである。勧誘者が言うように、将来数百倍数千倍に値上がる通貨なら、マイニングプランに$3500払うよりも今$3500分のビットコインボルトを購入したほうが、絶対に儲かる。
にも関わらず、多くのビットコインボルト紹介記事では「マイニングシティのマイニングのほうが効率が良い」とか「取引所で買うのは効率が悪い」とか、訳のわからない言い訳をしている。要するに、最初に述べたようにマイニングシティの紹介報酬が欲しいだけなのだ。
マイニングシティのリスクは、ビットコインボルトが大暴落し、全く価値のないコインになったとしても、報酬はビットコインボルトだけが支払われ続けるというものもある。当然、それまでに手に入れたコインも売却して利確していなければ、いくら途中で値上がっても最終的にはお金にならない。
そしてマイニングシティの所在地はカザフスタン、住所は不明という怪しげな立地であり、あらゆる部分が未公開。
マイニングシティの怪しさは、ビットコインボルトと違ってすでに他のサイトで多く語られているので、ここからはあくまでビットコインボルトの話をしたいと思う。
信用のある有名人が開発に関わっているすげーコイン!
「ビットコインボルトにはこんなすごい人が関わっているので、信用できます」というのは上述のネット記事でも同じことが言われているし、私は実際にマルチ商法の女性にその資料を見せられた。
しかしビットコインボルトを手掛けた「マインベスト社」のCEOの紹介からもう完全にクロなのだ。以下を参照してほしい。
ボルトを作った会社の社長は「世界デジタルマイニング協会」の会長なのか~すごいな~…
いや、「世界デジタルマイニング協会」ってなんだ?ていうか「マイニング業界の国連」って言い回しがおもしろすぎるだろ!
(ちなみに他の記事では「デジタルマイニング協会」だったり、ビットコインボルト公式サイトでは「国際仮想通貨協会」だったりと表記ゆれがある)
単に私が無知なだけかもしれないと思ってgoogle検索してみたのだが、日本語での検索はもちろん、英語でも全然ヒットしない。マイニング業界の国連がどういうSEO対策しているんだ。
あ、よく見れば公式サイトへのリンクが張ってあるじゃないか!早速確認してみよう。(引用元の記事ではURLがリンク切れしていたがサイト自体は存在している)
まさかの未SSL化
つまり、URLの頭が「https」ではなく「http」なのである。どういうことかと言うと、httpsでないとサイトとの通信内容が他人に傍受される危険性があり、昨今のウェブサイトとしては必須の機能。そのため、通常閲覧するウェブページはよほど古いサイト以外はほとんどがhttpsになっている。
ましてやマイニング業界の国連が未SSl化!?もし本当にデジタルマイニング協会が存在し、このサイトも本物だとしたら、マイニングよりも先に最低限のウェブを学んだほうが良いということになる。ちなみに、サイトの所有者が信頼できると認証されなかった場合、SSL化はできない。つまり、マイニング協会が単にSSL化を怠っているだけの可能性はあるが、信頼できる団体として認証が通らなかった可能性もある。
このCEOの他には特にマインベスト社に関する記述はなく、「提携企業」の自慢話ばかり。あげく提携企業のCEOの略歴を載せる始末だ。
小さな制作会社がちょっと孫請として関わっただけで「取引先企業」の欄に大手企業を書き連ねるのと同じである。
言い忘れていたが、当然のようにデジタルマイニング協会公式サイトの内容は激薄である。ぜひ拝見してほしいのが、Cloud miningやPoolの項目だ。
この項目には関連企業のロゴがずらりと並んでいるが、別に提携しているわけでも協会員でもなんでもなく、ただ並べているだけである。「どうせバカは詳しく見ねぇだろ」と言わんばかりの舐めきったサイトになっている。
ちなみにこのサイトはビットコインボルト公式サイトにもリンクが有るので決して上述のネット記事の捏造ではなく、ビットコインボルト公式の捏造である。
ビットコインボルト公式サイト
https://www.bitcoinvault.global/ja.html
このビットコインボルト公式サイトも驚くほど内容が薄いのだが、極端なのがロードマップの項目である。ビットコインボルトのロードマップのスクリーンショットが以下。
そしてビットコインキャッシュのロードマップは以下。
情報量の差はもちろんながら、見比べてみると、ボルトのロードマップの稚拙さがよくわかる。「取引所上場の拡大」や「キャンペーン実施」なんてものはロードマップに書くことではないし、そもそもロードマップとは「今後どのように通貨をアップデートするか」を公表する場所なので、商業展開しか書かれていないビットコインボルトは「アップデートの予定はありません」と言っているようなものである。
よく見れば、2020年の目標のみの掲載で、ロードマップと言うにはあまりにも目標が近過ぎる。他の怪しい要素を考えれば、長期的な運営は想定しておらず、マルチ商法に活用したあとは使い捨てられる通貨だと考えられる。
追記:
いつのまにか、上記で載せたスクショからロードマップの項目が変更された。過去には「グーグルプレイ、およびアップルストアでモバイルウォレット導入」が達成された項目として存在していたが、現在では「グーグルプレイ、ウィンドウズ、リナックス統合のウォレット利用可能」になっている。
どういうこと?と思うかもしれないが、審査の厳しいアップルストアが削除されているので、ウォレットアプリがアップルストアの審査に落ちたのだろう。(androidアプリは審査がゆるいし、ウィンドウズやリナックスは公式ストアで配信されているわけではない)
目標を変えるのは勝手だが、すでに達成したとされている項目を都合よく変えるのは詐欺根性が強すぎるだろう・・・
「そうは言っても、仮想通貨を開発するのはすごいことなんじゃない?」と考える人もいるかもしれない。もちろん私には作れないのだが、実はボルトの元になったビットコインを始めとする多くの仮想通貨はオープンソース(ソースコードが無料で公開されており、改造するのも自由)であり、コピー通貨を作ったり少しプロトコルを変更したりするのは、想像以上に簡単なのだ。
参考:https://kasobu.com/howto-create-cryptocurrency/
ボルトは後述するごく一部の機能以外はほとんど元となったビットコインと同じであり(公式がそう言っている)、かなり低コストに作られた通貨だ。騙されてはいけないのは、「ビットコインとほぼ同じなので信用できる通貨です!」とポジティブに言う記事が多いことである。
実際には真逆で、最もレガシーな通貨であるビットコインは、時代遅れになっている様々な点が指摘されており(ブロック生成速度が10分と長い、中央集権的で消費電力がかかる仕組み、発行枚数が少なすぎて少額取引に向かない…などなど)、それを解決するのがアルトコインの使命なのだ。
にも関わらず、そういった誤解を招く表現をするのは、知識の無い人を騙す行為にほかならない。
仮想通貨の開発の簡単さがわかる話として、仮想通貨バブル時に産まれた「YAJU COIN」がある。YAJUとはなんと、あの野獣先輩のコインである。遊び半分で作られ、当然何ら優れた仕組みはなかったのだが、ネタとして買われるうちに暴騰し話題になった。しかし、バブルが弾けると見るや、開発者が全てのYAJU COINを売却し価値がゼロになった、という笑い話である。
YAJU COIN:https://coinsmarkets.com/trade-btc-yaju/
言っておくが、ビットコインの名前とロゴマークをパクっているビットコインボルトを信仰する人が笑える話題ではない。
史上4番目にASICマシンでマイニングが可能!
ASIC対応とは、簡単に言えばより効率的に、低消費電力でマイニングが可能ということである。宣伝によれば、ビットコインやビットコインキャッシュ等の有名な通貨でのみ可能だったが、これに史上4番目でビットコインボルトが対応可能となった。エコで効率的な通貨ということがいいたいのである。
少し調べればわかることなのだが、このASICに対応すると言うことは通常価値があるとはいえない。他の仮想通貨ではむしろ、ASICに対応させないために様々な工夫を凝らしており、ASIC対応できない(させない)通貨を「ASIC耐性がある通貨」とポジティブに呼んでいる。
そもそも「ASIC」とは「特定用途向け集積回路」という意味であり、単純なアルゴリズムで動いている通貨をターゲットに、そのマイニングに特化した回路を作成し強力にマイニングしようとするのである。
ASICの問題点は、開発に多大なコストがかかるために、ASICを手に入れられる資本力のある一部の人だけが圧倒的なパワーでマイニングを行ってしまうことである。
もともとビットコイン等の仮想通貨は非中央集権化を標榜しているのに、それが崩されてしまうのだ。それを防ぐために、モダンな仮想通貨は様々なアップデートでASIC耐性を高めている。逆にASIC耐性が低い、対応ASICが存在する通貨は、レガシーで単純な構造をしているという事だ。
この「非中央集権化」はビットコインボルトも掲げている目標であるので、間違ってもASIC対応!などと自慢できることではない。
結論を言うと、ASIC耐性があればすごい!と褒められるが、ASICに対応しているというのはレガシーな通貨をコピーすれば良いだけなので全くすごくない。
ビットコインボルトの半減期(減少期?)はビットコインの8倍の速度
仮想通貨の半減期はごく単純に言えば「マイニング報酬が半分になるタイミング」であり、ビットコインボルトは半減まではしないが、同じように定期的に報酬が減少する。
この半減期のタイミングがビットコインの8倍の速度で訪れるのだ。(ボルトの報酬が減少していく割合は段々と増え、最終的には半減していく)
ボルトのメリットは、この半減期をまだ一度も迎えていない!ということなのだ。つまり、今後はどんどん報酬が下がっていくが、今マイニングすればたっぷりと報酬がもらえる。
そして、「半減期後には価格が急上昇する」というジンクスがある。以前のビットコインがそうであったように、ビットコインボルトも半減期を繰り返す事で価値を破竹の勢いで高められるのだ…
というのが宣伝文句。
ただ、「半減期で価格は上昇するのか?」という点は不確実で、賛否両論ある。確かに供給が減ることによって価格が上がるのは理解できるし、それが半減期を搭載する狙いなのだが、本質的な価値とは無関係だからだ。
ごく最近にビットコインキャッシュとビットコインSV(これらはビットコインからハードフォークしたコインであり、ボルトと違って名前をパクったわけではない)が半減期を迎えるということで話題になったが、ちっとも価格は上昇しなかった。ボルトの価値も上がるとは限らないということだ。
そして、半減期の本質的な点、「マイニング報酬が半減する」という点が問題だ。ボルトはマイニングのために生み出した通貨であり、ビットコインボルトをマイニングシティでマイニングすることを盛んに勧誘している。
Twitterで検索をかけても、「一日でこれだけ収入があります!このまま1100日間マイニングすれば大儲けです!」という声がたくさん出てくる。果たして半減期を経ても同じことが言えるだろうか?
前述のように半減期が起こったからと言って価値が上がるとは限らないが、半減期では確実にマイニング報酬が減る。
そして、その半減期がビットコインの8倍、半年に一回起こることになる。
マイニングシティでマイニングする期間は1100日間、つまり3年間なので、6回も半減期を経験することになるのだ。
ここまで来ると、なぜビットコインボルトの半減期をビットコインの8倍も設定したのかわかることだろう。マイニングに投資した人たちの報酬を自動で確実に減らしていきたいのである。一度マイニングマシンを購入した人は払い戻しなどは一切受けられないため、いくら報酬が減っても何もできない。
憶測を抜きにしても、半減期がやたら多い点には何もメリットがないのは事実であり、不気味だ。
24時間以内なら取引の取り消し可能!
ビットコインボルトは24時間以内なら取引の取り消しが可能。間違えて送金した場合や、ハッキングされた場合でもボルトが戻ってくるので、ハッキングに強い通貨だと主張している。ブログによっては「絶対にハッキングされない!」とまで主張している。
1件だけ英語サイトでボルトのセキュリティについて取り上げられていたので読んでみたところ、取引を24時間まで意図的に遅らせるモードがあり、その間は取引の取り消しができる機能が紹介されていた。
https://finance.yahoo.com/news/bitcoin-vault-safe-haven-crypto-170000486.html
よく考えれば、支払われる側からすれば、「いつでもキャンセルできる24時間」の間は送金者側に勝手にキャンセルされる可能性があるわけで、単に送金が終わっていないだけの状態と捉えられる。
つまり、24時間後に送金完了するという送金予約機能と何も変わらない。24時間後はハッキングに対する耐性は無いわけだから、全く意味がない。記事内でも単純だと言われているし。
記事の締めも「セキュリティはまだあなたの責任です」だ。
ハッキングされるとかされないと言った話は、ハッキングされるまでは「ハッキングされていない」と言えるので、なかなか言及しにくい問題だ。だが、ビットコインボルトのセキュリティが革新的とは言えないだろう。
ハッシュレートが非常に高いのにまだ価格が安く、今後確実に値上がりする!
この話題も、「ハッシュレートと価格にはどれほど相関関係があるのか?」という根本的な部分でツッコミができる。
確かに賛否両論あるのだが、ハッシュレートと価格との相関性について検索すると、ほぼ全ての記事で「相関性はあまり無い」(もしくは、底値と関係あるというような限定的なもの)とされている。
これは記憶に新しい2018年の仮想通貨暴落を鑑みればすぐにわかることであり、当時は価格は下がりまくったがハッシュレートはむしろ上昇したのだ。
おもしろいのが、詐欺記事の中ではビットコイン、ビットコインキャッシュ、ビットコインSVのハッシュレートと価格の倍率を導き出し、「このハッシュレートに対してこのぐらいの価格が見込めるので、ビットコインボルトは将来こんなに値上がりする!」と説明している。以下の画像がそれだ。
そんな単純な計算が成り立つなら誰も苦労しないのである。ちなみに、イーサリアムとライトコインはハッシュレートがほぼ同じだが、価格は4倍以上も違う(2020.0425現在)。
最も興味深いのが、もう気づいた方もいるかもしれないが、上記の画像の計算式があまりにもガバガバなことである。
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95EH/s = 10,0000ドル:ビットコイン(これはおそらく10,000ドルの表記ミス)
2.5EH/s = 400ドル:ビットコインキャッシュ
1.2EH/s = 200ドル:ビットコインSV
つまり『1EH/sあたり約100ドル』の計算式が成り立ちます。
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いや成り立っていないが????
更に良く見ると、引用文でもなんでもない執筆者の妄想にも関わらず、引用文と同じデザインフォーマットで書いているのである。つまりあたかも信頼できる文献に書いてありましたよ?という風体にしているのだ。あまりにも狡猾!
さらにさらに、もう一つだけツッコミをしてしまうと、そもそもビットコインボルトのハッシュレートがめちゃくちゃ怪しい。ボルトのような草コインは大手サイトでハッシュレートを見ることはできないので以下の公式サイトを見る必要がある。
http://explorer.bitcoinvault.global/
2.933 EH/s???(執筆時)
確かに宣伝のようにムチャクチャハッシュレートが高い。同じタイミングのビットコインキャッシュのハッシュレートが1.739 Ehash/sだから、1.7倍もの高ハッシュレート!
イーサリアムとの比較に至っては約17倍になる、とんでもないハッシュレートである。上場して4ヶ月なのにもう世界のアルトコインの中で一番ハッシュレートが高くなったのだ。すごい!!(笑)
2020.04.30追記
投稿時から4日後の現在、なんと3.909 EH/s。BTHの2倍どころではなくなった。
そして、笑えるのが先程の公式ハッシュレートサイトだが、またもや「http」。頼むからSSL化してくれ。まぁ認証が通らないのだろうが…
最後にハッシュレートについて一つ。
マイニングする側からすると、ハッシュレートが高いのは採掘難易度が上がるので報酬は少なくなり、全く良いことはない※。採掘難易度が激高なビットコインをそれでもマイニングする理由は、通貨の信用の高さと、価格が高いからである。
では、ビットコインボルトはどうか?というと、ハッシュレートがアルトコインの中で圧倒的に高いにもかかわらず、価格は低いというマイニングする通貨としては最悪の部類に入る。おまけに信用もない。
つまり、ハッシュレートが全て本当だったとすると、逆にマイニング投資するには適さないという、どう転んでもダメ通貨だ。
※ハッシュレートが上がる(多くの人がマイニングする)と採掘難易度が上がる通貨はProof of workタイプと呼ばれる。通貨によってはハッシュレートが上がっても採掘難易度が上がりにくいタイプもあるのだが、ビットコインボルトはこのProof of workのため、採掘難易度はどんどん高くなる。
ちなみに、このProof of workの弱点に「51%攻撃」のリスクがある。特定のマイナーが半分以上のハッシュパワーを持ってしまうと、ブロックチェーンを不正に書き換えることが可能になるという重大な欠陥である。その点ボルトのマイニングはほぼ全てマイニングシティが行っているので、マイニングシティはこの不正な書き換えをボルトに対していくらでも可能な状態である。
おわりに
いかがだっただろうか。
こういった案件は、正直なところ「100%の確率で詐欺です」と断定できないところが歯がゆい。あくまでこの記事ではビットコインボルト、マイニングシティの怪しさを言及しただけで、あなたが最終判断を下すしか無い。
もしかしたら、数カ月後に億万長者になった人たちを見て悔しがるのは私かもしれないのだから。
最後に、宣伝記事に載っていたマイニングシティ遠景画像を眺めながら締めたい。
火星かよ。